FR100

外遊びの新しい「カタチ」
自転車編 / 後編

NOVEMBER 21, 2016

きっかけはウルトラライト・ハイキング(以下UL)だった。 90年代後半、アメリカのスルーハイカーたちの間で生まれたこの方法論は装備の軽量化を一気に加速させ、ゼロ年代後半には、その方法論は他のアクティビティにも広がっていくことになる。
たとえば、ファストパッキング。ULよりさらに装備を軽量コンパクト化することにより、オーバーナイトでのトレイルランニングを可能にした最新型の登山スタイルだ。
たとえば、バイクパッキング。「自転車版UL」ともいえるこのアクティビティは、サイクルツーリングの可能性を一気に広げ、「アドベンチャーバイク」は自転車の新ジャンルとして確固たる位置を築いている。
たとえば、パックラフティング。まさにウルトラライトなカヤックであるパックラフトは、ULハイキングやバイクパッキングとも呼応しながら、水の上と陸の上を行き来する新しい旅のスタイルを生んでいる。

BIKEPACKING

NOMADICSの青木ヶ原樹海バイクパッキング。
ロードから一歩道をそれるだけで、冒険のフィールドに変わる。

最後に、千代田さんがNOMADICSを共に運営する“相棒”小峯秀行さんと取材の直前に旅した富士の青木ヶ原樹海でのバイクパッキングの話を伺った。一般的には鬱蒼とした森がどこまでも続いている印象の青木ヶ原樹海だが、実際に旅してみると、意外な発見の連続だったという。
「そもそもは、自転車のダウンヒルってそんなに標高上げなくても楽しめるから、それほど登らずにトレイルのアップダウンを楽しめる場所を探していたら『そういえば樹海ってどうなんだ?』て話になったんです。で、国土地理院の地形図を見ると樹海の中に今はもう使われていない昔の林道が張り巡らされているのを見つけて、『面白そうじゃん!』と。スタート地点は本栖湖で、そこから樹海に入りました。途中で東海自然歩道を走ったりしつつも、そこから一歩逸れるともう普通のトレイルじゃないから、GPSのアプリで現在位置を確認しながら進むんですけれど、それが探検している感じで面白かった。樹海って一般的には鬱蒼としたおどろおどろしいイメージだと思うんですけど(笑)、実際は草原みたいな場所もあったり、トレイルの表情が豊かで、ちょっとした距離の違いで雰囲気が変わるんです。途中『(カナダのMTBの聖地)ウィスラーかよ!?』って思うような場所もあったし。樹海を抜けて西湖のキャンプ場に泊まって、帰りは東海自然歩道で本栖湖に帰ったんですけれど、そこもちょっとしたアップダウンがあったり途中ちょっとした岩場がありつつ、気持ち良く走れるトレイルで。初心者でも破線をずっと行くのは地図読みのテクニックがいるんでちょっと危険だと思いますけど、東海自然歩道を走るだけだったら行けるんじゃないかな。富士五湖周辺って自転車乗りの人が多い場所で、ロードを走る人が多いと思うんですけれど、樹海周辺にはトレイルもいっぱい通っているから、そういうロードとロードの間にあるトレイルを走ってみるだけで全然楽しいと思いますね。秋や冬もすごく良さそうだなって思いました。葉も落ちて見通し良くなるし、森にも陽が入るようになるし。そういう季節にまた行ってみたいですね。」

「スタート地点の本栖湖。今回は途中の精進湖でも泳いだんですけれど、湖底が泥なんで、あまり気持ち良くないんです。本栖湖は底が砂利なせいか水がすごく綺麗なんで、泳ぐにはお薦め。なんで僕らも最後本栖湖に帰ってきてドボンしました(笑)」

「これは樹海の破線ルートに入った入り口くらい。足場が悪くてズボズボ埋まっちゃうし、自転車を上げるのも一苦労でした。こんなふうに最初は人を寄せ付けない雰囲気だったんですけれど、そこを頑張って越えていくと気持ちよい場所がいっぱいあった。」

「ここはもう消えかけた廃道です。普通はこんな草原みたいなトレイルを走れることは滅多にないんで、『おおー!』って感じでしたね。自転車乗りの人ならわかってくれるんじゃないかな(笑)。」

「西湖のキャンプ場は他の人はみんなオートキャンプだったんですけれど、僕ら暗くなってから着いて、自転車にハンモックでキャンプして、小さな焚き火焚いてって、かなり浮いていた。朝も誰よりも早く出て行ったから、謎に思われてたんじゃないかな(笑)。」

バイクパッキングのパッキングのポイント

「バイクパッキングはハンドルバーバッグ、フレームバッグ、サドルバッグという3つのバッグが『三種の神器』なんですが、それぞれ得手、不得手があります。荷物を軽くコンパクトにするのは大前提ですが、冬に厚い寝袋が必要な時など、それぞれのバランスをとって助け合いながら分散してパッキングしてください。」


① ハンドルバーバッグ
「ハンドルバーバッグには大容量のものが多くあるし、スタッフバッグやロールマットも取り付けられたりして、パッキングの肝になる部分です。でも、入れすぎるとハンドル捌きが重くなるので、適切な荷重は考えた方が良いですね。」

②フレームバッグ
「自転車の重心が一番安定する場所に付けるんで、金属製品みたいな小さいけど重いものを入れるのはここが良いです。」

③ サドルバッグ
「サドルバッグも大容量のものがありますが、マウンテンバイクの場合はあまり大きいと腰が引けなくなるので、僕みたいな下り重視の人は荷物をそれほど入れない方が良いと思います。」

④ FR100
FR100をサスペンション機能付きの自転車用マウントでハンドルバーに取り付ければ走行中も記録が残せる。


写真提供:小峯秀行(NOMADICS)
テキスト:三田正明

千代田 高史
/ Moonlight gear / NOMADISK

東京都岩本町にあるムーンライトギアとそのウェブショップを始め、海外ブランドのディストリビューションやイベントやレースの運営、オリジナルやコラボレーションのギアの開発など、様々な発信を続けるNOMADICS代表にして、現在のオルタナティブなアウトドアシーンにおけるキーパーソン。バイクパッキングはもちろんハイキングやトレイルランニング、ファストパッキングなど様々なアクティビティを楽しむが、実はアウトドアの入り口はマウンテンバイクだったのだとか。
http://moonlight-gear.com